△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
虹雫は顔を真っ赤にしたまま、宮の方を向いてコクコクと頷いた。すると、宮の見たこともない表情が目に入ってきた。
少し怒っているのか、けど照れているのか。いろんな感情が混じりあった、何とも言えない顔だった。けれど、いつもは冷静な彼がそんなに迷うほどの事なのだと、虹雫は次の言葉を覚悟をして待った。
「俺は、おまえの事が好きなのか、まだわからないんだ。大切だと思ってるし、一緒に居て心地いいし、可愛いとも思う。だけど、それが幼馴染としての気持ちなのかわからないんだ」
「宮………」
「だから、付き合ってみてそれを知りたいって思うんだ。おかしなことを言ってるってわかってる。だから、もし虹雫がよかったらお試しで付き合ってみないか?」
宮が話している事は、きっとありえない事なのだろう。
けれど、虹雫にとってそれはどうでもいい事だった。
宮が自分の事を一緒に居て心地よくて、可愛いと思ってくれている。幼馴染と恋を迷うぐらいに自分への「好き」の気持ちがあると言っているのだ。
それをずっと片思いをして諦めかけていた虹雫が喜ばないわけがない。
虹雫は、彼に近づき背の高いを見上げる。
その瞳には光りが増し、声が嬉しさで震えてしまっていた。
けれど、嬉しさと幸福感で頬は赤くなっている。
「………お試しでも宮の恋人になっていいの?」
「いいよ」
「………なりたいっ!宮の恋人になりたい」
「………わかった。じゃあ、よろしく」
「うん………!」
宮は少し困ったように微笑み、首をかしげるようにしてそう言うと、虹雫の頭に触れた。
もし今日の占いが夜にやっていたら、きっと「あなたは大吉だったでしょう」と言われるだろうな、と思うぐらいに今日という日は幸せだった。
泣きそうなほどに。
膝に置かれた手の上に宮の手が重なる。
彼が自分の手を握ってくれたのはいつぶりだろうか。
そんな事を考えて、それをすぐに止めた。
これからは、きっと手を繋いで歩く日々が待っているのだから。