△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「……虹雫は、本当に俺が好きだね」
「す、好きだよ。本当に好きだったから、困ってたし辛かったんだからっ!」
「うん。ごめん。でも、大丈夫だよ」
「何が?」
少し余裕が戻って来た宮に、虹雫はまだ落ち着かない自分。
虹雫は悔しくなって、少し拗ねた口調でそう言うと、宮は笑うのを抑えて、少し真剣に、でも優しさは残したまま言葉を落とす。そして、こちらに手を伸ばして虹雫の片頬を覆うように手のひら全体で触れてくる。温かい、宮の体温が直接感じられる。先ほどの手よりも熱い。
「俺も虹雫にキスしたいなって思った事、何回もあるし」
「え、えぇ…………。嘘だ。そんな気を使わなくても……」
「本当。酔っぱらって俺の隣で気持ちよさそうに寝てる時とか、ありがとうって笑う時とか、目と鼻を真っ赤にして泣いてる時とかね。可愛いなって」
「か、可愛い………って。宮って、恋人になったらそんなに甘いの?」
「俺は、幼馴染みの虹雫にも結構甘かったと思ってたんだけど」
「それはそうだけど……」
「じゃあ、これから味わってみて。俺が恋人になったら、どんなに甘くなるか」
虹雫の頭の後ろに手をやった宮は、虹雫をぐいっと自分に引き寄せ、そして短いキスを落とした。虹雫が目を閉じる暇もないほどのあっという間のキス。
温かくて柔らかいキスの感触。そして、いつもより彼の香りが強く感じられた瞬間だった。
「……お試しだけど、よろしく」
そう言って、間近で微笑む宮はいつもと変わらない優しさと男っぽさがあった。幼馴染みなのに、知らない彼が目の前にいる。そして、それを知ることが出来た。それが嬉しくて一粒だけ涙がこぼれた。
こんな宮を見れるなら、お試しでもいい。恋人になりたい。そう強く思った。
叶わない恋だと思っていたのだから。