△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~





 春を感じられるようになってきたが、寒がりの虹雫にとって朝晩はまだまだ冬のようだ。4月に入るまではまだ冬のコートを着てもいい、という自分のルールを作っていたので、この日もまだ冬物のライトグレーのロングコートを着ていた。


 「相変わらず寒がりだな、虹雫は」
 「だって寒いよ。そんな春用のジャケットなんて絶対寒い。すごいなー、剣杜」
 「いや、普通だって」
 「虹雫が体調崩さないのが大切だよ。3月はいっつも疲れがたまって倒れる事多いだろ?」
 「この間も倒れてたけどな」
 「……それは、ごめんなさい」


 剣杜のお祝いの食事会をしてから5日後。
 また、こうやって3人で会っていた。その日は虹雫が休日で、宮と剣杜とたまたま時間が空いていたので昼すぎに会うことになっていた。カフェなどだと目立つという事で、宮の自宅だった。


 「で、1週間も経たないで食事会なんて、珍しいな。何かあったのか?」
 

 宮が「話したいことがあるから、時間がある時に集まらないか」と、剣杜を家に招いたのだ。もちろん、その話の内容を虹雫は知っている。

 リビングのソファを普段とは配置を変え、2人掛けに宮と虹雫、その向かいの一人掛けに剣杜が座っている。宮の部屋に集まるときはそんな感じだ。最後には、ソファから降りてフワフワの絨毯の上に座ってしまうのだが、今日は違った。
 宮は手を組んだ状態で、目の前の剣杜を見て、ゆっくりと口を開く。


 「剣杜に報告があるんだ」
 「何だよ、改まって……」
 「実は、俺と虹雫が付き合う事になっただ」
 「………ぇ……」



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