△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
剣杜には、お試しで恋人になるということは話さない。
そう2人で決めたのだった。けれど、剣杜に秘密にしている事になってしまう。そう思うと、今更後悔してしまう。
素直に理由を話せば、彼は宮を怒りそうな気がしたのだ。そんな中途半端で付き合うな、と。そう思ったのもあるが、半分は自分の小さなプライドなのかもしれない。お試しではなく、本当に恋人になれた。そう言いたかったのかもしれない。
自分の心の弱さを感じ、剣杜の顔を見ると切なくなってしまう。
「虹雫?大丈夫?」
考え事をしていたせいが、ボーっとして手が止まってしまっていたようだ。
そこになかなか戻ってこない虹雫を心配して宮がキッチンにやってきたので。思わず、持っていたスプーンを落としそうになったが、何とか誤魔化して「ごめん。遅くなっちゃった。今持っていくね」と笑顔を返す。すると、宮は「俺もやるよ」と皿やコップを運ぶのを手伝ってくれた。
剣杜に内緒にしてしまった「お試しの恋人」。
それを本当の恋人に変えてしまえばいいのだ。そして、少し時が過ぎた時に笑い話として話せれば、それが1番いい。
そうすれば、剣杜に心配をかけなくてもすむ。
そのためには、本当の恋人になれるように頑張らなくては。
虹雫は、宮の背中を見つめながら、そう強く決心したのだった。