△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「え、まだ煮物が出来上がってないよ?」
「虹雫は、俺の面倒をみるために恋人になったの?」
「そんな事は……」
「俺は虹雫にご飯の面倒みてもらったり、家事をやってもらうためにお試しの恋人になろうって話したわけじゃないんだ。もちろん、虹雫のご飯を食べたいとは思うけど、作り置きまでしてもらうわけにはいかないよ」
「ご、ごめん。私……」
宮の言葉に、虹雫はしたたかがバレてしまったようで、恥ずかしくなってしまった。
宮の本当の恋人になりたい。彼に認めてもらいたい。その気持ちからか、こんな行動をとってしまったのだ。
けれど、彼には一瞬でお見通しだったようだ。
虹雫は、それを素直に認めて彼と向き合った。
「私、焦ってたみたい。早く、本当の恋人にならなきゃって。それに、ずっと宮に片思いしてて、恋人なんていたことないから、どうしていいのかわからなくって」
「虹雫。俺は怒ってないよ。ただ2人で一緒にいるのにバラバラなのは悲しいと思っただけだよ。俺は虹雫と隣に居たいと思うけど、虹雫は違う?」
「………違くない。傍にいたい」
「この後、デートに誘うと思っていたんだ。きりがいい所まで作り終わったら、どうかな?」
「………デート。宮とデート……」
今までは幼馴染みと出掛けるだけでも十分だった。けれど、街中で恋人同士を見つけてしまうと、「きっと2人で歩いていても、恋人にはみえないよね」と思ってしまい、恋人のように手を繋いで距離が近くなりたい、そう願っていた。
やってみたい事は沢山ある。
虹雫は目をキラキラさせながら、宮を見つめた。それをみて、同意と理解したのだろう。宮は虹雫の頭をポンポンと撫でた。