△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
いつもの口調で楽しそうにしている虹雫。
だが、顔色は悪い。そんな彼女を見て、食事に行こうとも思えるはずがない。虹雫はまだ痩せ我慢をしているのだ。
宮に「俺のうちで宅のみに変更っ!デリバリー頼むことにした」と連絡を送ると、すぐに「虹雫、体調悪いのか?」と返事が来た。「貧血だと。たぶん、違うと思うけどな」とメッセージを送り返すと「わかった。後で詳しく聞く」と連絡があった。
「宮、何だって?」
「あと少しで到着するって。おまえ、なに食べる?」
「んー、王道のピザかな。あ、でもさっぱりしたサラダとかも食べたいかな」
「わかった。適当に頼んどくから、おまえは休んどけ」
「わーい!宮のベッドは大きいから嬉しいな」
そういうと、寝室に行こうとしたので剣杜は「すぐに宮も来るんだ、ソファにしたらいいんじゃないか?」と返した。
「じゃあ、ソファも大きいからそうする」
「宮のうちのベットもでかいだろ」
「宮のベットで寝たことないよ?」
「え……あぁ、そっか」
「……宮、泊まらせてくれないだ……どうしてだろ?」
「付き合い始めたばっかりだからだろ。そこまで気にすることじゃないだろ?」
「そうなのかな……」
剣杜の返事に納得がいかないようだったが、虹雫はそのままソファに横になった。その後、彼女がしゃべることはなかったので、剣杜も静かに食事の準備をした。途中で虹雫の様子を見に行ったが、うとうとして今にも寝そうだった。
先ほどの話。お試しだから、宮は虹雫に手を出さないのか。あり得る話だな、と剣杜は思った。宮は真面目な男だ。本当の恋人にならないかぎり、虹雫を泊めることはないだろうな、と思ったのだ。それで虹雫が悩んでいたとしても。少しだけ虹雫が気の毒になってしまう。本気で好きだから安心して欲しい、と今すぐに伝えたいぐらいだ。
それよりも、先ほどの本屋の一件だ。