△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「はい。これが約束した本ね。返すのはいつでもいいよ。むしろ、虹雫が持っててもいいぐらい」
「ありがとう。でも読み終わったらちゃんと返すよ」
幼馴染同士の食事会が終わった後、宮の車で彼の部屋にやってきた。何度か来た事があるが、目的が泊まる事となるとやはり気持ちが落ち着かない。
宮から本を受け取る時に、指が触れ合うだけで体がびくっと震えてしまう。
本来の恋人同士がどちらかの自宅に行く事の意味とは違うというのに。
「虹雫、先にお風呂入って。さっきつけたかもう沸いてると思うよ」
「あ、ありがとう」
「洋服は俺のを準備しておくよ」
「う、うん……」
「緊張してる?」
「そんな事ないよ」
「……虹雫。わかっていると思うけど」
「お試しの期間は、何もしない、でしょ?」
宮の言葉を先に口にしてしまうと、宮はゆっくりと頷いた後に「そうだよ」と眉を下げながら同意した。やはりそうなのだ、と虹雫も同じような表情をしてしまう。
お試しの期間だというのはわかる。
けれど、彼の気持ちはまだ変わらないのだとわかり、シュンとしてしまう。
「でも一緒には寝よう。昔みたいだね」
「………昔、みたいじゃいやだよ」
「……そうだね。ごめん、違った」
「うん」
「抱きしめて寝るはしてもいい?」
「してほしい……」