△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
虹雫の視線にも気づかず、2人は高層ビルの中に入っていった。虹雫はそのビルを見上げる。そこは、有名なレストランが入っているホテルだった。1泊の金額を知った時に驚いた記憶があるほどの高級ホテル。最上階には素敵なバーもあるはずだった。
が、そのホテルの名前を見た瞬間、虹雫は足元から寒さが込み上げてきた。
宮とあの女性は、どんな関係なのだろうか。
そんな事を考えてしまい、虹雫はその場からのろのろと逃げるように立ち去った。
その後は、どのように帰ったのか記憶があまりなかった。
頭の中で、先程の光景が離れなく、「きっと仕事だ」「でも、違うかもしれない」というそんな葛藤がぐるぐるとめぐっていたのだ。
宮とはお試しの恋人同士だ。だから、何も言えない。本当の恋人ではないのだから。
けれど、彼は自分の事を「好き」と言ってくれた。部屋に泊まらせてくれた。
それに、宮はお試しの恋人だからといって、隠れて別の女性と付き合う事なんてしない、とわかっている。彼はそんな事をするような人ではないのだから。
それなのに、どうしても不安になってしうのだ。
あの女性と仕事ではない関係だったら。もし、仕事上の関係だとしても、宮が惹かれている存在ならば。
そんな風に思って、勝手来た本にも集中できず、ご飯も食べられなくなってしまった。
そして、連絡のないスマホをジッと見つめているだけだった。
3人とお揃いの三角のストラップを握りしめて、不安な夜を過ごした。
その日、宮からは連絡が来ることはなかった。