△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
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「映画のオファー受けたぞ。ちょい役だったけどな」
「今度、顔合わせがある」
「それには行けそうか?」
「あぁ……。後、勝手にやった事だけど、事務所と制作側に、俺がキャスティングされたことはギリギリまで秘密にして欲しいって頼んできた。発表されると、緊張するからって事で……かなり理由だと思うけど」
「……助かる」
今日は幼馴染みの食事会ではなく、宮と剣杜のみで集まった。外食では誰が聞いているかわからないし、剣杜は有名人でもある。話の内容が外部にもれる事は、今回の作戦の失敗を意味する事になる。慎重すぎるぐらいが丁度いいだろう。
それに、宮と同じように剣杜も同じ事を危惧していたようだ。剣杜の配慮に感謝をしながら、宮はゆっくりと口を開いた。
「昔からずっと考えていた事だからな……ここで、失敗するわけにはいかないんだ」
「昔って……おまえ、いつから……」
「大学だけど?」
「へ………」
「大学の時に、何かの記事書いて出版社に目をつけてもらって、すこし仲良くなった奴が、あの男の担当だったから、話聞いた」
「………おまえな………」
今まで話ししたことがなかっただけに、剣杜はあんぐりと目を開けて驚き、そして大きくため息をついた。
「俺はあいつを許さない。………絶対に取り戻すんだ。虹雫のものを。……虹雫の自信を」
ずっとそう思い続けて動いてきた。
虹雫は明るく、夢がある女の子だった。少し気にしすぎる部分があるものの、宮の前ではいつもにこやかな笑顔を向けてくれる、そして自分の夢をイキイキと語ってくれる。そんな女の子だ。
そして、宮にとって大切な言葉をくれた、大切な人なのだ。
そんな彼女がある人間の身勝手な行為で、本当の笑顔と自信と夢を消した。
到底許される事ではなく、取り戻さなければいけない事なのだ。