△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
2話「お揃いの三角」
  


   2話「お揃いの三角」



 剣杜のお祝いの食事会は、いつものようにゆっくりと進んだ。
 宮が食事を運ぶペースは遅めにお願いしたのだろう。ちょうどよいタイミングで料理が運ばれてきた。甘いワインは虹雫が好み、いつもより多めに飲んでしまっていたが、お祝いだからいいだろう、と残ったワインを飲み干した。


 「虹雫が疲れている理由は?何かあるのか?」
 「私は大丈夫だよー。それより、剣杜の雑誌の話をしようよ」
 「それはいま散々話しただろう。おまえ、酔ってるだろ?」
 「少しだけですー」
 「やっぱりな……」
 「で、何かあった?」


 どうやら2人はどうしても虹雫の話を聞きたいようだ。こうやって2人に聞かれてしまえば、誤魔化す事などできない。
 虹雫が気にしている事は、きっと他人からすれば些細な事で、気にするような話ではない。それにお祝いの席でモヤモヤとした話をしていいのか、と迷ってしまう。が、この幼馴染相手だと甘えてしまう。


 「………今日は図書館で子どもたちの読み聞かせ会があったの。そこに来てくれている元幼稚園の先生のボランティアさんが体調不良になったからお休みになって。急遽、私がやったんだけど………上手くできなくて」
 「やりたくなかったとか?子どもが騒がしくなった?」
 「ううん。そうじゃないんだけど。子どもたちは楽しんでくれたし、最後まで聞いてくれたから。でも、1人だけ途中で泣いてお母さんの所に行ってしまったの……」
 「原因は聞いた?」



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