△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
17話「春の風と冷たい家」
17話「春の風と冷たい家」
精神的に疲労していた虹雫は、2人に話をした後に少し安心したのか、泣き疲れたのは制服を着たまま寝てしまった。虹雫の実家の布団を取り出し、リビングで3人並んで体を休めた。幼い頃は、長期の休みに入ると3人の内の誰かの家に集まり、こうやって一緒に寝た事を宮は思い出して、懐かしい気持ちになった。けれど、今はそんな思い出に浸っている暇や余裕はない。
「おい、宮。起きてるんだろ?」
「あぁ……」
宮を挟んで体を休めていた剣杜が、小声で宮の事を呼んだ。考え事をしていた宮、返事が遅れてしまった。が、剣杜は気にする様子もなく言葉を続ける。その声音はいつもより低く、彼の深い怒りを感じられるものだった。
「どうする?このまま黙って身を引くわけにはいかないよな。あいつが今までどれだけ頑張って来たか。それを壊したままなんて、ありえないだろ」
「もちろん、このまま終わらせるつもりはないよ。けど、虹雫を巻き込みたくはない……」
「それは、そうだけど……」
「相手は大人だ。そして、俺達はまだ高校生。勝てる相手かわからない」
「けど、誰かに相談しないと」
「それで犯人にバレて、虹雫の写真がばらまかれたらどうする?」
「………」
「ネットの1度バラまかれたものはなかったことにはならない。誰かが保存して永久に消えないんだ。剣杜もわかるだろ?」
「それは………。だからって泣き寝入りするのかよ」
先程より声を大きくなり、ハッとして息をひそめる。剣杜の焦りを感じる。もちろん、宮もすぐにでも犯人を見つけて、仕返しをしてやりたい。そう強く思っている。けれど、今は情報が少くないのだ。虹雫が貰った名刺も見せてもらったが、そんな人物は該当する者がいなく偽名だった。メールアドレスもフリーメールだったようで、試しにフリーメールで送ってみたが、エラーになって戻って来た。きっと、メールアドレス自体を削除したのだろう。後始末も抜かりがない奴だ。用意周到というイメージを受ける。