△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~




 宮の言葉を被せて、そう言った。普段ならは人の言葉を遮るような強引な事はしない虹雫なので、宮は驚いて彼女を見てしまう。
 彼女の表情は今にも泣き出しそうなものだった。それを見て、宮はすぐに理解した。虹雫は、宮が話そうとしていた事が何なのかを察知したのだろう。そして、それに触れられたくなかったのだ。


 「剣杜が帰ってきたら、行きたいところがあるんだ。一緒に来てくれる?」
 「………わかった。じゃあ、剣杜を迎えに行くか」
 「そうだね」



 その話が終わった後、虹雫は部屋にこもってしまった。「準備したいことがあるから」と言って、なかなか出てこなかった。
 宮は心配したものの、傷ついた彼女にどう接していいのかもわからずに、心配するばかりだった。その間、剣杜に2人で迎えに行くと連絡し、その後は宮が犯人から受け取った名刺を調べた。が、やはり、その男の情報はいくら調べてもヒットしなかった。もちろん出版会社にもその名前はなかった。
 そんな事をしている間に、辺りは薄暗くなり、いつもの下校時間に近づいていた。



< 87 / 202 >

この作品をシェア

pagetop