△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
虹雫はそういうならば、忘れるのが正解なのだろう。
けれど、宮はそんな事は嫌だった。虹雫を傷つけ、夢を壊し、無理に作った笑顔を浮かべる彼女にした男を許せるはずがなかった。いつもならば、感情を表に出さないようにしていたが、この時だけは、我慢が出来なかった。虹雫の言葉に返事が出来ない。
昨日の一件を忘れる、それだけは約束できるはずがなかったからだ。
「……虹雫、水は持ってきた?」
「え?」
「日記が燃えた後に他の草とかにうつってしまったら大変だ。水があったほうがいい」
「え、あ、そっか。じゃあ、コンビニで買ってくる」
突然、そんな事を言い始めた宮に驚きつつも納得してしまった虹雫は、一人でコンビニへと向かってしまう。
「………宮、これぐらいのノートだったら燃えた後、火は自然に消えるだろ」
「わかってる。剣杜、なんかノートかして」
「へ?」
「俺のノートうつしたもの上げるから、何でもいいから早く。虹雫が帰ってくる」
「あ、あぁ」
宮の強めの言葉にせかされ、剣杜はカバンの中から「数学」と書かれたノートを取り出して宮に渡す。すると、地面に置いてあった虹雫のノートを取り、自分のカバンの中に入れると、剣杜のノートに向けてライターで火をつけた。どうやら、すり替えた剣杜のノートだとわ気づかなかったようだ。
「お、おい!俺のノートッ!」
「この虹雫の日記は証拠になるかもしれない。燃やすわけにはいかないんだ。虹雫には黙ってろよ」
「……おまえ、本当に無茶苦茶だな」
「あぁ!先に燃やしてたの!?もう、待ってて欲しかったのに」
大きなペットボトルを抱えた虹雫が戻ってきて、燃えているノートを見ながら落胆した表情を見せる。が、すぐに切り替えて、虹雫は宮と剣杜の間に座り、燃えるノートを見つめた。