△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
19話「隠せない秘密」
19話「隠せない秘密」
昔話を話していると、宮は虹雫の祖母の言葉を思い出した。祖母は虹雫をとても大切にしていた。もちろん、両親も彼女の事を愛していたはずだが、幼い頃になくなったので、宮の記憶あまりなかった。
虹雫の祖母は、とても柔和でいつも笑顔を絶やさない女性だった。けれど、虹雫がいない時に会うと真剣な表情で宮と剣杜に言うのだ。
「あの子にいい人が見つかるまで、2人で守ってあげてね」、と。
自分の命が長くないとわかり始めた頃なのだろう、頻繁に2人にそう言っていた。
宮は祖母に言われなくてもそのつもりだったし、剣杜も同じだっただろう。けれど、その言葉を今でも時々思い出す。「俺がずっと守り続けます」と、言えばよかったな、と思うのだ。
日記を燃やした後。
虹雫の前では盗作事件については話すことはなくなった。彼女も普段通り自然に過ごしていたので、宮から話すことも出来なかった。
けれど、忘れたフリはしていたが、みんな忘れるはずもない。虹雫は傷ついたままのはずだ。それを放っておくつもりはない。
宮は大学になると、2人には言わずに調べていた。虹雫の様子が少し変わった頃に、宮はすぐに「何かあったな」と思った。そして、虹雫が投稿していたサイトを調べた。彼女は自分の作品の話を全くしなかったので、どの作品なのか全くわからなかったが、投稿サイトの掲示板で「今、話題になっている作品って、前に違う人がここにあげていたよね」とちょっとした話題になっていたのだ。けれど、結局は投稿していた人がデビューしたのだ、という事になり騒がれる事もなかった。
が、宮はすぐにこれだ、とわかった。すぐに本を購入する。作家の名前は男性のものだった。
#澁澤悠陽__しぶさわはるひろ__#。
宮は1度その名前を頭に入れた瞬間、忘れる事はなかった。
少し前の事なのに、ホテルのベットで泣き、抱きしめると震えて泣く彼女の姿が鮮明に思い出され、宮はその本をもつ手が怒りで震えた。