No one can find
ファミレスで志穂と昼を済ませて、私はすることもないので市内の図書館へ行くことにした。図書室で勉強することが多く、大好きな推理小説も嫌になるほどあるので、一日中いれる。
入るやいなや、早速気になっていた小説を借りて、自習机へと向かう。夏休み真っ最中のため、学生がとても多い。みんな受験に向けて黙々と勉強していた。
取り付けてあるライトをつけて、勉強道具を出した。
勉強に飽きたら、借りた小説を読む。話の切りがよくなったら、また勉強に戻る。
それがいつも図書館でやるルーティーンだ。
しかし、今日は違う。勉強のやる気はすぐに失せて、スマホを取りだし、さっきのDМを見た。電話をかけてもいいのか。もし悪徳業者や架空請求とかだったらいろいろとまずい。でも1つ謎なことがある。ほかの人には何の需要もないこの垢になぜメッセージを送ってきたのか。フォロワーは1桁で、好きな小説家や気になる事件のニュースの投稿について意見を言ったりはしているけど、中々の物好きでない限り、興味は持たない。まずこの垢の存在を知ろうともしないだろう。
しかしなぜこの垢の存在を知ったのか。この垢自体は何の投稿もなく、いいねもしていない。名前もakaとかいう謎の名前だった。
わたしはとりあえずこのakaという人に電話をかけることにした。
変な勧誘だったら切ればいい。
図書館を出て、近くにあった公衆電話でかけることにした。さすがに携帯でかけるのは気が引ける。
100円を入れて番号を押す。
電話はすぐに繋がった。

『もしもし、メッセージを送った方でしょうか。』
「え、なんでわかるんですか?」
『この番号はメッセージを送った方にしかお教えしていない番号なので。しかしなぜ公衆電話で?』
「あ、、携帯の充電が切れてしまって。ちょうど歩いてたら見つけたので、、。」
さすがに怪しくて携帯では無理でしたなんて言えない。
『さようでございましたか。お手数をおかけしてしまって申し訳ありません。後ほどしっかり電話代はお返しさせていただきますので。』
「いや、全然。大した額じゃないので。」
『いえ、しっかりお返しさせていただきます。あまり時間もありませんので、手短にご説明させていただきますね。』
「はい。」
『今回のアルバイトの期間は8月第2週目の1週間。泊まり込みで行っていただきます。人数は高校生男女の7名。こちらで人選させていただきましたので、ご友人の勝手な勧誘などはご遠慮ください。』
7人もわたしみたいにDМを送ったってことか。どうやって選んだんだろうか。
「わかりました。あの、報酬は?」
『メッセージに記載した通りでございます。』
「どうやってあんな高額を?」
『それは、今お教えできることではございませんので。』
わたしは、殺人事件の解決だけではなく、いかにも裏がありそうなバイトについても知りたくなった。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop