Livre magic〜終わりの始まり〜
跪いた物の怪の額に僕はそっと触れた。そうしなくてはならないと思ったからだ。刹那、頭の中に映像が浮かんでいく。これは……。

『出てって!出てってよ!あんたなんか家族なんかじゃない!!』

『お前の生きる場所なんてないんだよ。さっさと死ねよな!』

『女優になりたい?役立たずのお前にそんな金を費やせるわけないだろ。諦めろ』

『惨めだよなぁ?でも、お前にはそんな人生がお似合いだよ』

『本当に友達だと思ってたの?馬鹿にされてただけなのに!』

暴力、暴言、悲しみ、苦しみ、憎しみ、怒り、負の感情と記憶、それらが僕の頭に一気に流れ込んでくる。ここにいる物の怪たちはみんな、人間だった。悲しい過去を持った人たちだったんだ。

『共に復讐をしよう』

『復讐をすればきっと君の気持ちは楽になれる』

『人を信じるな。化け物となった己を信じろ』

『馬鹿な奴らだ。俺の駒にすぎないのに』

オズワルドさんの嘲笑う声が入り込む。オズワルドさんは最低だ。この人たちを言葉で操り、物の怪に変えて知能までも奪ったんだ。
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