Livre magic〜終わりの始まり〜

物の怪が暴れたせいか、道路にはどこかの看板やら家の屋根などが散乱している状態だ。普通なら足止めされてしまうだろう。

僕はその障害物の上をまるで飛ぶように走っていく。こんな状況は初めてなのに、本能が体を自然に動かしてくれていた。

僕は足に力を入れ、家の屋根を蹴る。そのまま僕の体は宙を飛び、物の怪に向かって僕は剣を振り下ろす。

「ぎゃあ！！」

わずかに交わされたものの、物の怪の目を傷付けることはできたようだ。ポタポタと音を立て、物の怪の目から血が滴っていく。

「次で倒す！」

僕が剣をもう一度構え直した時、「ノワール！」とリオンたちが叫ぶ声がした。何かが宙を飛ぶ音が一瞬だけ聞こえる。何かが僕に向かって飛んできているのだというのだけはわかった。

しかし、あれだけ先ほど動いていた体は動かない。突然のことに体が動かないんだ。

何かが僕の体に当たり、強い衝撃が走る。そして、僕の目の前は真っ暗になった。