溺愛プロデュース〜年下彼の誘惑〜
行く末は前途多難。
しばらくして然さんが戻ってきたけど
話し合い(?)は無事に済んだのか…モメたのか
彼は変わらず何も言わないから
こちらも敢えて『大丈夫でした?』とも
聞かなかった――
「今晩、俺のマンションね」
「言い方が誤解を招きます」
ウィンクしながら言うもんだから
知らない人から聞けば
それこそ勘違いされてしまうでしょ。
「ほら、一緒に住むようなもんじゃん?」
「だからッ」
「俺が名義の部屋だしね」
そう言われてしまえば
確かに彼の部屋ではあるかもしれないけれど
本当に《《隣》》…よね。
見ていないから騙されているんじゃ…―――
その日の夜
部屋の様子を見るために
一緒について行く事に。
彼の言う通り
マンションまでの距離は会社からは
さほど離れていなくて往復通勤時間にも悩まない。
「部屋は定期的に掃除してあるから
すぐ住むのも大丈夫だと思うよ。
それと、玄関の鍵はカードキーだから。
スペアも合わせて2枚渡しておくね」
慣れたように
まるで管理人のような口ぶりで
鍵を渡してくれる然さん。