待ち人、音信なし
待ち人、眠る
花屋には、浮かべる用の花が売られている。
帰りに紫苑の花を買った。
家に荷物を置いて、グレーのワンピースに着替えた。
バスに揺られ、外を見る。
この時間に、このバスに揺られている人は大体目的が同じだ。
泉近くへ向かっている。
イヤホンをしようか迷って、止めた。
あの菫色の瞳を思い出した。
泉へ向かう道を歩きながら、そんなことを考えている自分がいた。
それがすごく罰当たりなことに思えた。
泉につくと、既に多くの花が浮かべられていた。
隣を歩いてきた高齢の女性も籠に入れた花を泉へと浮かべていく。