待ち人、音信なし
私も同じようにしたいのに。
ぼんやりとその様子を見ていた。
色んな花が浮かんでいて、綺麗だ。
まるで、雨の日の傘みたい。
様々な色、様々な形。
すっかり暗くなって、人が段々と捌けていく。
漸く私は泉の傍にしゃがんで、持ってきた花を水面に浮かべた。
青と紫の間の色が月の光に照らされる。
……会いたい。
すごく。
誰に?
貴方に。
どうして?
寂しい。
答えてくれない貴方が、寂しい。
また泣いていた。いくつか浮かべた紫苑の花が、水に浚われ、離れていく。
まだ、行かないで。
怒りと悔しさがごちゃ混ぜになり、結局悲しみが全てを持って行ってしまう。