待ち人、音信なし
いつになったら、私はこの気持ちと決着をつけることが出来るのだろう。
ねえ、答えて。
アイザック。
声が聴きたくなり、鞄の中から携帯を出そうとする。
その前に、グレーのハンカチが目に飛び込んだ。
携帯を探していたのに、先にハンカチを取った。
目元を覆う。どこか、安堵している自分がいる。
クリアになった視界で泉を見ると、浮かべた紫苑の花が遠くへ行っていた。
立ち上がり、それに背を向ける。
振り向いた先に、立つ姿があった。どこかで見た気がして、見上げた。
「……泣いてません」
「ああ、そうかよ」
ノアさんに見下ろされていた。