待ち人、音信なし
思えば、二人でご飯を食べるのは初めてだ。
メニューを見ながらそんなことを思う。
注文を終えて、当然沈黙が降りる。
カウンター席に並び、ノアさんは民放の流されているテレビを観ていた。
私も観ようと思ったけれど、ちょうどノアさんで画面が見えなかったので諦める。
なんとなくデザートの欄を目で追った。
いつもの車内と同じ空気。
この少しも気遣われない感じが心地良い。
注文した麺が前に置かれた。
白いとろりとしたワンタンと、丁度良い油の量、透き通った出汁。
美味しそう。
「頂きます」
ずるずると麺を啜る音。