待ち人、音信なし
バスに揺られて窓の外を見る。
三年前の今頃、私は毎日泣いていた。
今はどうだろう。
今は少しだけ、笑ったりもしてる。
「これ、ありがとうございます」
非常階段で眠るノアさんに声をかける。
「ここ置いときますね」
起きているかどうかは分からないけれど、微動だにしない。私はハンカチとサンドイッチの入った紙袋を傍に置いた。
サンドイッチは、一度食べているのを見たことがあったので入れた。
ノアさんの好き嫌いが分からないので。
私はいつもの通り、階段を降りて携帯を出した。