待ち人、音信なし

「窓がないと暗い」
「暗いでしょうね」
「お前もそんなに興味ないだろ」

何故か呆れたように言って、ノアさんは最後の一口を放り込んだ。

立ち上がり、紙袋を私に返す。
中にハンカチが入ったまま。

「これ、ノアさんの……」
「要らないからやる」

こちらを振り向かないまま言われ、非常扉がバタンと閉まる音が聴こえた。





「久しぶり! イヴ! トリー!」

きゃー! と言いながらトリーはレイラの広げた腕に身を投げた。
抱き合う二人を見ていると、その内私も巻き込まれた。

「仕事? 私用?」
「仕事! ついでに私用!」

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