待ち人、音信なし
帰った、と言うふうに。
隣に立つノアさんの重たい無言の圧がかかった。
「てか君、どっかで……」
社員がノアさんを見て言いかける。
その後ろからひょこっと顔を出したのは年配の男性。
「やあ、ノアじゃないか」
ノアさんに友好的な人。
私は取り敢えずノアさんが口を開くより先に本日の用件を伝える。
「水質土壌検査に来ました。許可証にサイン、押印、あと鍵の使用許可が頂きたくて」
「そうだったの。ごめんね、そちらに掛けていて」
受付後ろの椅子を勧められた。
社員の男性が何か言いたげにこちらを見る。