待ち人、音信なし
「君、今朝の朝礼で話したよ」
「すみません、社長……」
ノアさんに友好的な人は社長らしい。
隣に座って面倒臭そうに宙を見るノアさんに視線を向ける。
「お知り合いですか?」
「前の職場の上司」
「え、ノアさんって民間にいたことがあるんですか?」
ここは民間の警備会社。
ずっと公務員だと思っていた。
「新卒採用だ」
「確かに似合いますね」
「3ヶ月で辞めた」
「……向き不向きってありますよ、たぶん」
私のフォローにノアさんが少し笑った、気がした。
珍しい、とその顔を見上げていると、社長が出てきた。