待ち人、音信なし
遅くなってごめんね、と鍵を差し出してくれる。
二人で立ち上がり、カウンターまで行く。
「これ許可証と鍵」
「ありがとうございます」
「それにしてもノアに会えるなんてな。風の噂で、」
「今のとこの所長に拾ってもらいました」
社長の言葉を遮り、ノアさんが言う。
「そうかい。良かった。また顔を見せに来てくれ」
静かに微笑み、社長は言う。ノアさんはその言葉に頭を下げて、歩き出した。
私も慌てて鍵と許可証をしまう。
「ノアはうまくやっているかい?」
顔を上げると社長と目が合った。
青い瞳が、アイザックを思い出す。