待ち人、音信なし
うまく……やっているのか。
「大きな喧嘩とかは、ないです。お昼は外の階段で眠ってます」
「よく眠るんだよ、彼」
「業者さんとはたまに揉めます」
「変わらないねえ。よろしくね」
よろしくされてしまった。
いいえ、とも言えず、「はい」と答える。
にこにこと笑顔を見せる社長。
私はノアさんが行ってしまったことを思い出して、入口の方へと視線を向けた。
「すみません、失礼します」
「はい。気を付けて」
頭を下げて、その場を去った。
ノアさんは入口近くで煙草を吸っていた。
私の姿を見て、その火を消す。
「おせえ」
「……すみません」
誰の所為だと。