待ち人、音信なし

眼鏡を掛け直して、ジュリが首を傾げる。

「なんか前もそれ訊いてなかった? 西区に友人でもいるの?」
「んー……ちょっと、ね。このまま異常なければ開放されるかなって」
「今あそこ入るの規制されてるもんね。行きたいの?」

ズバズバと核心をつくジュリと、それをフラフラと躱す私。

行きたい。
その為に私はこの職に就いたくらいだ。

あそこにはアイザックがいる。

「失礼します」
「お。ノアさんだ、珍しい」
「時間」

ノアさんが私を見て言った。時計を見ると、出る時間になっていた。

「すぐ行きます! ジュリまたね」

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