待ち人、音信なし
はいよー、と軽い返事があり、先に出ていったノアさんの背中を追った。
「……動きませんね」
「ああ」
先の見えない渋滞。
確かにいつも混んでいる道ではあるが、こんなに動かないことはない。
ノアさんがエンジンを止めた。
「事故ですかね?」
先程から雨もパラパラ降ってきている。
今日はもうビルに帰るだけだが、これではいつ着けるか分からない。
「かもな」
窓に肘を掛けて返事をする。
「私、ちょっと見てきます」
「やめとけ、危ない」
扉を開けようとすると、制された。