待ち人、音信なし
車が停車した。知らない駐車場で。
「え、どこですか?」
ノアさんは答えず、車を降りる。
反抗期の子供か。
とりあえず私も降りて、ノアさんが店の扉を開いた。良い匂いが香ってくる。
早く入れ、と視線が言っている。
「ありがとうございます」
先に入れてもらい、入口で立ち止まった。丁度夕飯時だからか、程々に混んでいる。
店員が席に案内してくれる。
メニューを開くと並ぶのはブロック肉の焼けた姿。
なるほど、本当に肉を食べに来たんだ。
「ハンバーグもある……!」
「そりゃ良かったな」
他人事のように言い、ノアさんは窓の外を見る。