待ち人、音信なし
あれって。
「伝言、みたいなやつ」
風が吹く。ノアさんの広げた紙がパタパタと吹かれた。
思えば、小雨があがっている。
最後にあの留守電を聴いたのは、ノアさんに何を聴いているのかと問われたときだ。
「……どうして、ですか」
「最近見てねえなと思って」
「ノアさんには関係ないじゃないですか」
「泣いてない、聴いてない、関係ない」
楽しそうに言う姿に、口を噤む。
「お前可愛いのな」
……はい!?
「仕事忙しいの?」
「ん? ふつうかな」
「なんかぼーっとしてない?」
隣を歩くレイラが私の顔を覗く。