待ち人、音信なし
驚いて隣を見上げると、ノアさんが居た。
「痛くありません、だったか?」
「……痛いです、ありがとうございます」
私が認めたのが珍しかったのか、ノアさんは変な顔をした。
ぺりぺりと剥離紙を剥がし、踵に貼る。
「二次会、行かなかったんですか?」
「元々一次会も行く予定じゃなかった」
「ノアさん、気に入られてたじゃないですか」
答えはない。少し間を空けて、ベンチに座る。
月明かりではなく、街灯だけが私たちの足元を照らす。
出しっぱなしになっているイヤホンと携帯が寂しそうにしていた。私はそれを手に取り、迷っていた。