待ち人、音信なし
所長が隣を指差したので、私は座らせてもらった。
「それから、色んな職場を転々としてるところに声かけたんだよ。あの頃、生きて帰った人たちは結構、色んな声を浴びてたからね」
「……そうなんですか?」
「イヴは、横で戦争から還ってきたのを喜んでいるのを見たら、どう思う?」
「良かったねって……」
「本当にそれだけ?」
尋ねられる。
悲しみには星を。
祝福には花束を。
それだけ、か?
自分の愛していた人は還って来なかったのに?
「……嫉妬していたかも、しれません。私はあの頃自分のことで手一杯だったし、幸い近くに戦争に出た人が居なかった。でも、もしもその立場にあったら」