待ち人、音信なし
嫌われてると思っていた人を好きになるって、どういう嗜好?
というか、ノアさん、彼の話を聞いてどう思ったのだろう。
自分も戦争に行った記憶があるのに。
嫌な気持ちに、ならなかっただろうか。
ざくざく。
「穴を掘るな。犬かよ」
上から降りた声に、顔を上げる。
呆れた顔が見下ろしていた。
「……間違えました」
「ちゃんと戻しとけ」
「言われなくても! 河の水の採取してきます!」
立ち上がり、ノアさんから離れる。
「穴」
「い、今やろうとしてたんです」
「ああそうかよ」
再びしゃがみ、スコップで掘った土を戻す。