待ち人、音信なし
靴と靴下を脱いで、水分を絞る。腰まで浸かったのでズボンもずぶ濡れだ。
あ、キットどっかに落とした……?
「あれ?」
胸がひやりとした。ポケットに入れていた固い感触、携帯がない。
裸足のまま立ち上がり、通ってきた道を目で追う。
携帯らしきものは落ちてない。ということは。
河へと視線をやる。
濡れた靴へ一応足を入れて、河の方へと近づく。後ろから腕を掴まれて後退した。
「何やってんだ」
「携帯、落としたみたいで」
ノアさんが怪訝な顔でこちらを見ていた。