待ち人、音信なし
仕事道具の入った鞄が置かれている。
「あれ持って、車戻ってろ」
「でも」
「どっちにしろお前じゃ河底に手届かないだろ。俺が行く」
「私もここにいます」
「風邪ひくぞ。俺を資料室整頓させる気か」
この仕事は二人揃わないと動けない。
ノアさんが休んだ時、私が資料室を整理してたみたいに。
何も言い返せなくて、私はタオルを握って歩いた。
仕事道具を後部座席へ置いて、ビニールシートを助手席に敷いてその上に座る。
この駐車場から、河の様子は見えない。
膝を抱く。靴が下に落ちた。
何をしてるんだろう、私は。