待ち人、音信なし
携帯ショップに行って、前の携帯を修理できないか聞いたけれど、完全に駄目だと言われた。昔の型なので部品も無いらしい。
「カメラ機能とか、音声機能とか良いんじゃない?」
「そうなの? カメラ……」
カメラをトリーに向ける。確かに、前の携帯よりずっと画質が良い。
「なに撮ろう?」
「好きなもの撮れば良いじゃん。ノアさんとか」
飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
「な、な、の、ノアさんなんて撮っても面白くないもん」
「そんな動揺しなくても」
笑われて、きゅっと唇を結ぶ。