待ち人、音信なし
ごめんて、とトリーが言葉ばかりの謝罪をした。
「だって、イヴが可愛いんだもん。会って二年とちょっとくらいだけどさ、いつも寂しそうな顔してたし」
「そう、かな」
「うん。なんか、失くしものをずっと探してる途中っていうか、待ち合わせに人がこないっていうか、そういう顔」
トリーの例えが秀逸で、私は思わず笑った。
その通りだ。
私はずっと、捜していた。
「ここに来る前、彼氏が戦争で亡くなったの」
「え、そうだったの」
「でもね、所長の優しさでここに来ることになって、トリーの明るさに毎日救われてたよ」