待ち人、音信なし
そうして私は少しずつ、自分を取り戻していたのだと思う。
トリーははにかんで、私の背中をばしばしと叩いた。
「い、痛い」
「あたしも! イヴが話聞いてくれるから、毎日仕事来れてるよ!」
「そうなの?」
「そうだよ! うざい役員にも負けずにやってけてる!」
止まった手が、私の背中に添えられた。
トリーは頷き、こちらを見る。
そうか。
トリーも毎日、闘っている。
「あたし達、頑張ろう」
まるで、秘密の決意のように囁かれた。
とりあえず謝罪を兼ねて、ノアさんの家を訪ねることにした。所長が大体の場所を教えてくれたけれど。