待ち人、音信なし
その顔を下から覗く。
顔色はまあ普通だ。というか、ノアさんの顔色が変わったところなんて見たことがそもそもないけれど。
「でも、外歩けるくらいなら」
そう言いながら先ほどドラッグストアで買った袋をノアさんに差し出した。
腕に、ぽつりと水滴が当たる。
え、と思う暇もなく、バケツをひっくり返したような雨が降ってきた。
驚いて呆然としていると、腕を引かれてドラッグストアの屋根の下に収まる。
「良かったです……」
「この状況で、どこが良いのか教えろ」
「とりあえず、これどうぞ」
買ったものを手渡す。