待ち人、音信なし

そんな心無いことを言う人に、私は今からでも抗議に行きたい。

「私は、生きていてくれて、良かったと思います」

肩口に額をつける。

「そんなこと言うのはお前くらいだ」

そう言ったノアさんの声は震えていた。

そんなことは、絶対にない。

だって、合コンにいた人たちだってノアさんと仲良くしていた。
ノアさんが死んでしまったら悲しむに決まっている。

でもそれを失くしてしまうほど、酷い言葉を投げられて、無愛想だけれど優しいこの人は傷ついた。

「じゃあ、私が最期まで、愛しますね」

そう言えば、ノアさんは私の身体を抱きしめた。

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