待ち人、音信なし
なんだかそれを見ていたら、気が抜けてしまう。
良い歳して、何してるんだか。
「ノアさんの眼、綺麗な色ですよね」
「……初めて言われた」
「今の間は嘘ですね?」
「お前には初めて言われた」
言葉巧みに躱された。
ちょっと唇を尖らせてみる。
ノアさんが少し笑った。
「可愛い」
「可愛いって言えば良いと思ってません?」
それでも嬉しいけれど。
背中を抱き寄せられ、再び唇が重なった。
「好きだ、イヴ」
きっと、私はこの声を思い出す。
アイザックのこともいつか忘れる。
でも、愛したことは忘れない。