待ち人、音信なし
「すみません、クリームコロッケは完売してしまいまして……」
「あ、そうなんですね。じゃあ普通のコロッケを」
笑顔を崩さず、それでも残念そうだ。
最初に会った時は、いつも泣きそうな顔をしていた。
「そんなに食いたかったのか」
「だって、ノアさんが好きだって言ったから」
頬杖をついて窓の外を見る。
その横顔が、とても綺麗だ。
神様がこの女を作って、俺の前に現れさせたのなら、本当に残酷で、本当にどうしようも無い。
「西区、行きたいのか?」
前に検査室で話していたのを聞いた。
イヴはこちらに視線を戻す。