【短】春、二人だけの思い出を
「それは…」
1度ちらっとこちらに視線を向けてから、また口を開く。
「それはもう卒業したら会わないってこと?」
「え、」
予測してなかった発言に焦る。
「え、っと、そういう深い意味があって言った訳じゃなくて、純粋にね、今まで通りではなくなるからってことで」
テンパる私に外山くんはクスリと笑う。
「じゃあ、これからも僕と会ってくれる?」
「うん、もちろんだよ。外山くんがいいのであれば」
「…ねえ、小春ちゃん…」
私の心臓がトクンと声を上げる。
ずるいよ。
こういう時だけ『三井さん』じゃなくて『小春ちゃん』って呼ぶんだ。
「こっち見て」