【短】春、二人だけの思い出を


頭では危険な雰囲気だと分かっているのに。


心のどこかがもっとって求めている。



私はそっと目を閉じた。



今度、唇に触れたのはひんやりした感触じゃなくて――





あたたかくて柔らかなものだった。






「三井さん?聞いてる?」


外山くんに声を掛けられてはっとする。


「ごめん、ちょっとぼうっとしてた」



私たちはあの日から、保健室に2人きりのときだけよく話すようになった。


お互いの最近あったこと、趣味、悩み、他の人に言えないようなことも。



話していくうちに案外私たちは趣味や価値観が合うことがわかってきた。

< 7 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop