【短】春、二人だけの思い出を
それから、外山くんは勉強は嫌いじゃなくて、保健室にいながらもちゃんと勉強してるんだって言ってた。
私も時々わからない問題を解説してもらっていた。
さすがは学年一位。教え方も上手い。
でも、ひとつだけ未だに教えてくれないことがある。
外山くんがどうして教室にくることができていないのか。
もしかしたら素直に聞けば教えてくれるのかもしれないけど、私にはその勇気がなかった。
きっとなにか深い事情がある。簡単に踏み込んでいいものとは思えなかった。
「外山くんもまたおすすめの本教えてね」
「うん、この前読み終わったやつ今度持ってくるよ」