【短】春、二人だけの思い出を


それから、外山くんは勉強は嫌いじゃなくて、保健室にいながらもちゃんと勉強してるんだって言ってた。

私も時々わからない問題を解説してもらっていた。
さすがは学年一位。教え方も上手い。



でも、ひとつだけ未だに教えてくれないことがある。


外山くんがどうして教室にくることができていないのか。



もしかしたら素直に聞けば教えてくれるのかもしれないけど、私にはその勇気がなかった。

きっとなにか深い事情がある。簡単に踏み込んでいいものとは思えなかった。



「外山くんもまたおすすめの本教えてね」

「うん、この前読み終わったやつ今度持ってくるよ」


< 8 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop