キャンディータフト
 落ち込んでいる私たちに恐ろしい電話が舞い降りた。 母からだった。

「なな、あんたどうせ羅夢ちゃんと勉強もせず家でダラダラしながらすまほでもさわってんでしょ。」

………図星だった。羅夢と見つめあって、少し口角が上がった。わたしは
 「そんなこと ない よ? 勉強イヤ宿題教えあってたし」

と何故か喧嘩腰で返してやった。羅夢にも協力を求め

「ななのママわたし、ななと頑張ってまーす。」

演技力なんてどうでもいい、今ある電話越しにいる母を騙せたらいいのだ。

計画は順調だ、帰ってきてから怒られなくて済む。最近の日課は、母が家に帰ってダラダラしてるわたしを見て怒鳴って、「それでも受験生かあーー!」と言われる日々だ。 

しかし次の母の言葉に耳を疑った。

近くにできた塾、無料で授業受けられるってことだったから試しに2人で行きなさい。

とのことだった。


わたしは気づいてなかった、そこから私の胸の針が動き始めようとしたことを。
< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop