キャンディータフト
あの電話の母の声のトーン、その無料の塾とやらに行かなければ相当怒られると確信した。
わたしはこれまで小学生から公文や英会話になんかもお世話になってきた。
学校の友達に塾荒らしと言われるほど入っては辞め、入っては辞めを繰り返すとてもめんどくさい生徒だった。 わたしは、塾は学校と違って理解するまでいていいものだと考えていた。
だから、初めに入っていた塾は、授業が眠たくなる時は、眠たいと言い(学校へ行って部活へも行って眠たくならないのがおかしい)
相手が教えても、わたしが理解できてない時は理解できないと言うのであった。馬鹿な大人は、
「なんで出来ないんだ」とそこで機嫌を損ねる。馬鹿だ、わたしの親がお金を払ってるんだからわたしを理解させる義務があると思うのに、わからないというと機嫌が悪くなる、だから辞めた。
そこの塾が一番酷くて一番高い塾だった。
だからわたしも今から行く塾には期待なんかしてない、すぐ辞めるそんな気持ちで行くつもりだった。
対して、羅夢は、その時点で入っている塾があったが、わたしの人見知りのせいでたった1人で、
塾へ踏み出すなんて出来ないと思い、頼み込み体験だけなら、とのことでおっけいをもらった。
そして、Instagramに2人でboomerangを撮った。
“イケメン先生に会ってくる”
との文字を添えて。
羅夢との会話で、わたしが先生イケメンなら入るわ、とただの悪ノリの意味のない言葉だった。
意味のある言葉なんて、1ミリも思っていなかった。