キャンディータフト
 塾はわたしの家から、5分もないところにあった。 個別指導の塾で、ネクタイをつけた香水臭いおじさん1人と、普通のおじそんと30代前半のショートカットのおねいさん計3人で塾の扉の前で待ち構えていた。

羅夢と顔を合わせて小声で
 “イケメン先生おらず〜”

とニヤニヤしながら、彼らに近寄り、無料体験にきたのだと言った。彼らは笑顔で透明の扉を開けてもらい中へ入った。扉には、何故か動くと鳴る鈴がついていた。  扉を開けた瞬間誰もいない塾に鈴の音が響き渡った。

すぐさま、親御さんは?ときかれ、内装や先生を見た感じ、全国規模の塾でベテランの勧誘の男達が、いい感じに仕向けて入れるしんりちシステムなんだろうなと思っていた。

多分、物心ついた子供ならみんな思うと思う。

1人の男の先生はまだしももう1人の男は、茶髪で松ぼっくりみたいに髪をワックスで固め散らかし、耳にピアスを開け、眉毛があるかないか分からないそして香水だ、あんな趣味の悪い香水は初めてだった。臭かった。

そして簡単な、方式を聞いた。その塾は、1対1か、1対2の完全個別型の塾で、授業は、希望の数だけ、時間は1コマ90分何故か値段まで聞かされた。  そして教える教師は、この香水くさい軍団ではなく、県内の大学に通っている未来の先生の卵達が来るとのことだった。

これは、イケメンの未来が見えてきたぞとまたわたしは、輝きを取り戻したのであった。
< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop